協働ロボット活用のポイントを徹底解説!
日本の製造業において、工場内の負荷の高い作業の代替として産業ロボットが活用されています。従来は安全柵の中でのみ使用されていた産業ロボットですが、2013年の厚生労働省からの通達で、条件を満たせば柵無しでも稼働させることが可能となりました。
この通達を受けて、様々な場面で活用が進んでいる「協働ロボット」について、効果的に活用ができるアプリケーションの紹介や、選定のポイントをお伝えさせていただきます。
▼ 目次 ▼
協働ロボットとは
協働ロボット活用のポイント
〇協働ロボットの特徴を理解する
・狭いスペースで行う動作が得意
・ロボットに不慣れな方にも優しい
・速度を求められない動作が得意
・カメラ等による位置補正を必要としない動作が得意
〇ロボットに適切なアプリケーションを選定する
・加工機への脱着
・パレタイジング
・溶接
〇リスクアセスメントの実施
協働ロボットとは
協働ロボットとは、産業ロボットの一種で、人と協力して作業することができるロボットのことです。従来、工場内で使用されているロボットは安全柵に囲まれた環境下でのみ稼働が可能でしたが、2013年の規制緩和により、ロボットシステム全体のリスクの低減を行い許容可能な範囲内のリスクであれば安全柵無しでも稼働が可能となりました。
従来、ロボットの導入が進んでいなかった工場内のスペースの狭い作業工程や、人と協力しなければ対応が難しい作業に関しても協働ロボットを活用することで自動化・省力化が可能です。
協働ロボット活用のポイント
2016年頃から様々な展示会でも見かけるようになった協働ロボットですが、2024年現在想定されていたほどの活用が進んでいない現状があります。
協働ロボットを活用する上でのポイントをご紹介させていただきます。
協働ロボットの特徴を理解する
安全柵無しで使用できる協働ロボットは、一見どんな困り事も解決できるロボットに見えますが有効に活用するためには、協働ロボットの特徴を正しく理解する必要があります。
協働ロボットの特徴は次の通りです。
狭いスペースで行う動作が得意
協働ロボットはシステムによっては安全柵無しで稼働させることができる為、産業ロボットと比較して設置スペースを大幅に削減することが可能です。従来、自動化が進まなかった工場内の奥のスペースや、加工機に囲まれたスペースなど、狭いスペースの自動化に最適です。
また、ロボット本体の重量も軽いものでは10kg前後と、産業ロボットと比較すると軽量である場合が多くございます。この特徴を活かして天井や壁に設置するなど柔軟な取り付け姿勢でロボットを使用することができるため、狭いスペースを最大限に活用することが可能です。
ロボットに不慣れな方にも優しい
協働ロボットの多くは「ダイレクトティーチング」と呼ばれる直感的に操作できる方法でティーチングを行うことが可能です。今までロボットを使ったことがないようなお客様に関しても、ティーチングを簡単に行うことができるため、導入のハードルが低くなります。
速度を求められない動作が得意
協働ロボットは人と同じ空間で作業を行う場合があるため、人にとってリスク(危険)の少ないシステムを構築する必要があります。ロボットの速度が速いと、人と接触した際の衝撃が大きいため人にとって怪我に繋がるリスクとなりかねません。
そのため、速度を求められない動作の自動化・省力化を行うシステムであれば導入ハードルが低くなります。
カメラ等による位置補正を必要としない動作が得意
ロボットシステムを構築する際に、対象ワークの位置の認識や補正を行うカメラ(ビジョン機器)を使用する場合が多くございます。
協働ロボットシステムにおいては、ロボットシステム全体の金額を比較的安価に抑える必要がある案件が多いため、費用を抑えるために極力カメラ等による位置補正を必要としない動作の自動化・省人化で検討を行うことが重要です。
ロボットに適切なアプリケーションを選定する
上記のような特徴を有する協働ロボットに最適なアプリケーションを選定することが重要です。
加工機への脱着
工作機械など、製造業になくてはならない加工機へのワークの脱着作業は協働ロボットが得意とする代表的なアプリケーションです。加工機は加工時間が長いためワークの搬送に速度が求められないため、安全な速度でロボットを動作させることが出来ます。
また、ワークの供給・排出位置、加工機内のセット位置が定まっているため、カメラ等のビジョン機器が不要な場合も多く、導入に向けたハードルが低くなります。
パレタイジング
製造ラインの出口工程である、パレタイジングも協働ロボットが得意とするアプリケーションの一つです。
近年、協働ロボットのラインナップが拡充され可搬重量が20kgを超えるようなロボットも増えてきています。安全性と生産性を両立させた協働ロボットでパレタイジングのアプリケーションを対応することで、費用対効果の高い投資が可能となります。
パレット満載時のパレット交換も、安全柵がないことでフォークリフト等で効率的に実施できるため、作業効率も大幅に上がる場合も多くございます。
溶接
金属製品同士を接続する溶接工程も、協働ロボットが得意とするアプリケーションの一つです。溶接工程は、動作の速度よりも安定性や精度が求められるため、協働ロボットの動作速度でも十分です。また、複雑な溶接ラインであってもダイレクトティーチングを活用することで直感的にティーチングが可能で、ロボットに不慣れな担当者であっても問題なく対応が出来ます。
リスクアセスメントの実施
協働ロボットシステムを運用するうえで、切っても切り離せない工程の一つが
「リスクアセスメント」です。
システム全体のリスクの洗い出しを行い、作業者や工場にとって許容できる範囲内のリスクに低減をすることで、初めて安全柵なしでロボットを動作することが可能となります。
リスクアセスメントを過剰に実施してしまうと、省スペースへの設置や、作業者と協働で動作できるメリットなど、協働ロボットの良さをつぶしてしまうことにも繋がりかねないため、慎重に検討することが求められます。
協働ロボットの動作や、対象ワークの特徴、ユーザーごとに求められる安全に関する要求など、様々な要素のバランスをうまくとることで、協働ロボットの良さを活かした費用対効果の高いロボットシステムを構築することが可能となります。
協働ロボットなら当社にお任せ!
産業ロボット、協働ロボットの実績を有する当社であれば、お客様に適したロボットの選定から、システムのご提案が可能です。
ロボットに加えて、ロボットシステムの構築に必要な機器を一式で仕入れることができる為、お客様の発注先を当社にまとめていただくことで発注工数を大幅に削減することもできます。
協働ロボットを活用してみたいがよくわからない、そんなお客様がおられましたらお気軽にご相談頂けますと幸いです。